2007年2月11日日曜日

フォロアー

前の職場で受けさせてもらったセミナーの中に「フォロアーシップ研修」というのがあった。

リーダシップと対を成すものの考え方としての「フォロアーシップ」という言葉。企業の人事・教育担当者でなくとも耳に覚えがあると思う。 世の中には、フォロアーシップのみにターゲットを絞った教育研修があり、人材育成コンサルタント会社などによって提供されている。文献もいくつかある。

当時私はシステム開発に携わっていたが、IT業界をはじめ技術界では「リーダー受難の時代」と言われていた。

プロジェクト制で動くことが多いIT業界では、永続的な組織のなかで人間関係をじっくり熟成させることが難しく、封建的な序列も影が薄くなり、組織内での縦の圧力も、商社や製造業よりは、よわい。テクノロジに関しては、吸収力の高い若い技術者は、入社3年目前後でもたつと、時として、分野によっては先輩や上司をはるかにしのぐ生産物を生み出すこともある。ところが、いかんせんその時点で彼はまだ25歳。人間を見る目など完成しているわけも無く、先端テクノロジに関しては優秀でないがチームマネジメントに長けるベテラン といった種類の先輩や上司を尊重しなくなってゆく。

自分の専門分野で自分より秀でていない者を尊敬できないのだ。

リーダーや先輩が偉いから尊敬せよというのではもちろん無い。

チームのメンバそれそれが最大限にその特色と力を発揮できるよう、協調しあう、尊敬しあうことの大切さ というのは、なかなか文字に書いて理解されるものではないが、そこに如何に早く到達するかで、その後の人生の展開が変わってくるといっても大げさではない。いままで手でこいでいたボートをオールでこぎ始めるようなもの。

新田次郎の「孤高の人」で、主人公を死に追いやってしまう若い登山家のような、若さゆえの傲慢、過信、盲目、それらいわゆる「若さ」(悪い意味で)が、若い未熟な技術者の瞳に見て取れたとき、非常に悲しい思いで彼を諭したものだった。

同時に、育てる側の自分たちにも問題があることにも気づいていた。「不必要に相手の心に踏み込まないことが、大きなトラブルを招かない処世術」といったような風潮が、確かにそこにあったからだ。

4 件のコメント:

  1. 耳が痛いお話です。

    「自分の専門分野で自分より秀でていない者を尊敬できないのだ。」
    ありますね。
    もう少し緩いですが、私も未だにあります。

    最近は下に人がつくこともあり、「君は何の自信・根拠があってそんな態度をとるのかね???」と思うことも出てきました。
    いよいよ中間層の苦しみを味わう年頃です・・;

    昔、私が何かを報告したときに年配の上司が返した、
    「ごめん、私アホやからようわからん。もう一回教えて」
    という言葉を、額面通りに受け取っていた頃が懐かしいです。

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  2. あの職場にはよく見受けられるシーンでしたね。(w

    常識的な人がよく目立つフィールドでもあるので、センスがあればいくらでも飛びぬけて行けると思います。

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  3. こんちわー
    IT業界のプロジェクトは今も昔もメチャクチャになってるところが多いですね~
    新田次郎読むんですね。
    加藤文太郎ですか。。。
    機会があれば山登ってみます?(^-^

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  4. よねさん、訪問ありがとうございます。
    登る前に、30KGほどの荷物を腹から下ろさないといけないです。。。(^^
    よねさんの写真、いつもすばらしいですね。あんな綺麗なものが見れるなら、山登りに力をかける人の気持ちが分かる気がします。

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