ビリヤードを通じて知り合った親友の結婚式が、つい最近、あった。
綺麗な庭のある、とても素敵な式場、レストランでの披露宴。
どれも見事な食材に丁寧に手間のかかったおいしい料理、どれをとっても、すばらしい結婚式と披露宴だった。
なかでも、僕の心を揺さぶったのは、新郎の上司の方のスピーチだった。
白髪の混じった、経験の豊富そうな、厳しそうな雰囲気の上司の方。
無用に派手な美辞麗句は無かった。
一言一言かみしめるように話されたその数分間のスピーチは、本当に、部下(新郎)の日ごろの頑張りをたたえ、仕事ぶりを愛し、人柄を愛し、認め、尊敬し、今日の佳き日を心から祝っている、心からのお祝いの言葉だった。
僕は涙腺がゆるいので、結婚式で新郎新婦が登場した瞬間にすでに1枚目のハンカチを使ったことをここで告白するが、この方のスピーチでは、景気良く涙がじゃあじゃあ出るので、同じ友人テーブルの皆のほうをなかなか向くことが出来なかった。
祝辞の対象、新郎をふと見ると、そのスピーチを、真剣なまなざしで聞き、一つ一つにかすかにうなずき、目頭から感謝と喜びの涙が零れ落ちそうになっている、真っ赤な顔をした僕の親友が、そこに居た。
本当に、本当に、すばらしい二人だと思った。
披露宴と言えど、あんなふうに、丁寧に選んだ言葉を尽くしてお祝いを伝えられる人はたくさん居ないように思う。上司の方ご本人の深い人生経験や、今までくぐりぬけて来られた数々の困難がにじみ出るような、やさしく、甘くなく、誠実な言葉で綴られていた。
そんな最高の祝辞を、きちんとそちらに向き直って、真剣に受け止め、素直に喜び、感謝を表せる、この新郎のような人に、これから先、また出会うかどうか分からない。
男子たるもの、そうやって、仕事できちんと認められて、初めて、男 と言えるんだろう と 思った。
少し、自分が恥ずかしかった。
またひとつ、強いバネをもらった気がした。
上司に評価してもらうことが目的ではないのは当たり前だが、後からついてくる成果の尺度として、目安として、あんなふうに言ってもらえるような仕事をせねばならん、と、思った。
**
週があけて今週は、仕事にとてもハリが出て、とても楽しく仕事に打ち込んでいる。
Better late than never
これを忘れずに、今からでも遅くない、すぐ始めよう。