2008年1月14日月曜日

ウルトラリアル

Ronmueckmakingof_2

Ron Mueckという人を知ったのはどこかのブログ記事。DIGITAL DJやったかな。

ものすごくリアルなシリコンモデルを、ちょっと変わったスケールで作るアーティスト。

まずはこれを見てほしい。右の写真は実は生身の女性ではない。

鬼才としか言いようがない。

リアルに物を作るアーティストはたくさんいるかもしれないが、それを、ちょっと(一部作品ではかなり)スケールをずらして、まず見る人の心に強烈なインパクトを与える。

動画に出てくる、巨大な少年なんか、子供のときに見ていたら夢でうなされただろう。

生まれて初めて女の子とキスをした日、初めて、数センチの距離で、その女の子のまつげの生え方や眼の周りの細かな起伏、髪の生え際なんかを見た。とてもきれいに出来ていて、飽きることなく長い間眺めていたように思う。今となっては少々きれいな人とお近づきになってもいちいちまつげがどうとかはなんとも感じないが、おそらくこういう芸術家は、観察眼がいつまでも風化しないから、どんなものでも自分の表現世界に結び付けてゆけるのだと思う。

ほかにもたくさんあるようなので、Mueckの世界にしばし足を踏み入れてることにする。

メモ:   GGL-pic  YTB

 

2008年1月13日日曜日

大好きだったけど。

フレッシュネスバーガーを時々利用していた。

(お察しのとおり、私が、大好きだったフレッシュネスバーガーにとてもひどくがっかりし、今後利用しないことに決めたいきさつを書いている。興味のない方は次の記事へどうぞ。)
 

 
フレッシュネスバーガー
「クラシックバーガー」が味もボリューム的にも気に入っていて、時々、お昼にテイクアウトしてオフィスで食べていた。

ある日の昼食に、以前から興味があった「クラシックWWバーガー」をテイクアウトしてみた。MACでいうビッグマックにあたる、一番大きなハンバーガー。

オフィスに戻って紙袋を開けると、ラッピングペーパー(F社ではこの紙に色々とこだわりがあるそうだがいまではとても疑問だ)2枚で包まれた大きなハンバーガーが目に入る。ほほの緩む瞬間だ。

旨そうなパティのにおいがいつもより強いのは、きっとそう、パティがWだからだ。

そうにちがいない。

ほんのりチーズの香りもただよう。

この店のたまねぎはサラシがあまく、とても辛くてにおいもきつかったので、今回もたまねぎ抜きで注文した。

ちょっとカロリーオーバーだがこれはかなりのお気に入りになるに違いない。。

 

では。

と、手に取った瞬間、指先に感じた強い違和感に、思わず手を離して、元の紙袋の中に落としてしまった。

「????!!」 包み紙が、肉汁でボトボトに濡れている。。。。2枚でラッピングしたのはこういう訳か。。

恐る恐る(机に汁がぽたぽた落ちたが仕方なかった)開けてみると、ぬれているというより、出来上がってから汁をぶっ掛けたように、広げた包み紙のシワをツツーっと汁が流れるほどにぼとぼとだ。

 

ハンバーガーファンならご存知のとおり、数あるハンバーガーショップの、いくつかのメニューでは、テイクアウトしたハンバーガーが、家に帰ったら肉汁や湯気でしっとりしてしまい、店で食べるのとは少し違った食べ物になってしまうことが少なくない。(とくに、モスやウェンディーズなどはさむ具材がリッチなものはこういう傾向がある。だからできるだけハンバーガーはできたてを可能な限り早く食べるほうがいいのだが。)

 

今回は別格。

バンズも、湿っているというよりは汁に浸したようにぐちゃぐちゃになっている。

とてもこれが正しい「「クラシックWWバーガー」だとは思えない。

 

オフラインで私を知っている人ならご存知と思うが、私はハンバーガー、ハンバーグが大好きである。作り方や材料に細かい知識があったり、ハンバーグを評価する組織に所属したりしているわけではないが、私が世界で一番好きな食べ物は、ハンバーグである。

だから、ハンバーグ関連で私をがっかりさせるような出来事には、できる限り遭遇したくないのだが、運悪く遭遇してしまった時に、その「がっかり」が、手抜きや怠慢によるものだったりすると、立ち直りがたいショックを(ごく短時間だが)受ける。15分ほど、悲しい気持ちになってしまうのだ。

今回は最悪の事態のようだ。

こんなボトボトは、包む時に、まず、気づく。はず。

そして、余分な汁をとるなど、対策する。はず。

持って帰ってこのお客さんがこの紙をあける時に、このバンズはもう、味噌汁の麩のように汁を吸ってむにゃむにゃになっているだろう。。そういうことも、想像がつく。はず。

食べる時に包み紙の四辺をうまく内側に折りたたんで、汁がこぼれないように、傾けないように口をできるだけ近づけて食べていると、手や頬やメガネに、おいしいパティのおいしい汁
が付いてしまい、それを洗面所で洗うのはとても面倒だということも、想像してほしかった。

その店に苦情を言いに行ってもそれは解決でないような気がした。

なにより、その、汁だらけのハンバーガーを店に持っていって、込み合っているカウンターで汁の説明をする中年男性(私)の、あまりかっこよくない状況を想像すると、とてもやりきれない気持ちになったので、この会社に事情を説明して改善して頂けるようにお願いをしようとおもった。

ホームページで消費者相談窓口を探したのだ。

しかし、フレッシュネスバーガーさんは「ご意見窓口」「カスタマー窓口」のようなものを一切持っていないようだ。

今のご時勢、消費者とやり取りをする窓口をもたないことには少し驚きだが、先のボトボトバーガーと、消費者窓口の記載のないWebサイトを見ると、消費者の立場で、食べる人の立場でものを考える会社ではないのだな、というのが感じられたので、内密に穏便にすませたほうが会社にとってもわたしにとっても、ちょうどいい解決になるのだというような優しい気持ちは何処かに吹き飛んでしまった。

 

憤りを抑えながら、両手を汁だらけにしながら、このさい略称に格下げの「クラWバーガー」をなんとか食べ終えることができたが、あんなに大好きだった肉厚のクラシックパティが二枚も入っているのにもかかわらず、おいしいとは全く感じなかった。
「食え」とばかりに、乱暴に目の前に食べ物を出され、甘んじてそれを食べているような、そんな気持ちになった。盛り付けの雑な料理は食べる人の喜びと感謝を踏みにじる。それと同じだろう。

「こんなもん食えるか!」と捨ててしまえるような心の持ち主であったなら、いくらか救われたかもしれない。 

 

私にできる精一杯のことは、『あんなものはもう食べない。』 

客商売で一番怖いのは、黙って離れていく消費者だ。

クレーマーなんて、親切なのだ。時間を割いて、詳しく事情を説明し、部外者なりにも会社の問題点を分析して一生懸命それを伝えようとする。いわばネガティブ要因専門の社外コンサルテーションスタッフだ。

私も、大好きなフレッシュネスバーガーがもっと良くなるように、「汁でボトボトではないハンバーガーのほうが、今より売れますよ、きっと」って、伝えたかったのだが、それをする手段がなくてとても残念だ。 

食べ飽きたはずのビッグマックの、どちらかというとジューシーではない薄いパティの味わいが、とても恋しくなった。

 

2008年1月7日月曜日

コラテラル

トップガンを観た時の衝撃はいまだ心に新しい。20年以上前になる。トムクルーズも若かった。家庭のAVはまだどこの家もVHSのビデオデッキで(たまにBetaも居たり)、テレビはブラウン管だった(一番人気はSONYのプロフィールだった)ころの話。もう20年も経ってしまったのか。

トム・クルーズは確かに男前と思うが、映画俳優としての彼を見る時には特に何の感慨も持っていなかった。俳優という職業をうらやましいと思ったことがないといえばうそになるが、容姿を一定に保ち、自分でないものを演じて生きるということに、興味こそ持てど、なってみたいと思ったことがあまりなかった。そのころの僕はまだ人生観もうまく出来上がってなくて、少しゆがんだところもあったのか、年を経た俳優は、重ねる年輪そのものが美しければ評価を受けることもあるだろうが、老いて小さくなると見捨てられる存在のようなイメージを持っていた。

ついこの間5回目を見たコラテラル(「巻き添え」の意)は、ストーリーが後半急展開して一件落着、ラストシーンは虚空に向かって主人公がテーマをつぶやく、言えばよくあるわかりやすい娯楽映画。僕のつぼをこういう風にヒットした。

  • (ガン)アクションが派手
  • 自分の恋愛経験のなかで経験したことのあるようなシーンが1つ以上ある
  • 怒っている人が登場する
  • あきらめる人とあきらめない人が登場する
  • 映像と音楽で強い緊張感を感じるシーンが2つ以上ある

並べてみると、なんとも単純な、僕自身こそアメリカ映画みたいだ。

2008年1月4日金曜日

Ferrari 412T2 咆哮

フェラーリ TIPO 044型エンジン 1995

1996~1997年ごろの、「CAR GRAPHIC」誌の創刊何周年かの記念の付録であったらしいミニCDが有る。

実物は手元に無いが、コピーが有る。

色々とF1のエグゾーストノートを収録したCDを買いあさったが、このミニCDほどの迫力のものは、無かった。

一番の感動は、長い長いクランキングの後、ティーポ044エンジンに火が入り、様子を見ながらレーシングする部分。冷えているフェラーリF1のエンジンのノイズは思いのほか大きく、タペット音らしきものがモロに聞こえる。「カチャカチャカチャカチャカチャカチャ。。。」大丈夫かと思うほど。聞くと、温間時(エンジンが実用温度になっているときのこと)にベストなクリアランスになるように、各部品の膨張率やたわみを精密に計算して仕上げられたチューニングの結果、こうなるのだそうだ。

次のシーンで、獣が甲高く咆哮するようなV12サウンドが聞こえると、全身鳥肌で、涙さえあふれる。絶対太刀打ちできない大きな獣に食いつかれたような、征服されたような気分になる。ferrari_412t2.jpg

それはそれはどう猛な獣で、どんな生き物も彼の前にはえさとなるほかないが、彼の中には最強の獣の哀しみがあり、彼が全速で駆けるときの音は、強者の誇りのほかに、息絶えるときまで勝利に貪欲でなければいけない自らの定めを嘆き、哀しむ響きがある。彼が彼であるためには勝ち続けるほかないが、そうしてどんどん彼の孤独は深まってゆく。ハイエンド(一番高回転の時)の音は、私にはそういう悲しい音にも聞こえる。

ferrari_412t295.jpg