「SEは変態が多い」 とか、 「SEは口の利き方も知らん奴が多い」 とか
よく耳にします。
耳にするというか、ある意味ほぼ正解です。
私もこれをキチンと説明できるわけではないですが、ざっくり言って、
IT業界の若者は、お付き合いに苦労させてくれる若者が非常に多いです。
業種が問題ということではなく、IT関連 特にソフトウェア系は、
プロジェクト制で作業する会社がほとんどで、 課 とか 部 などの
いわゆる永続的な組織を意識せずに日々のお仕事をすることが多いです。
そのこと自体は、受注する案件自体も、永続性の少ないプロジェクト
であることが多いので、実際の動きと乖離しなくて、良いことだと思います。
ただ、そういう形態で働き続けることによって生まれる弊害を、
キチンと認識しないといけません。対策も必要です。
弊害とは、自分が所属する組織への帰属意識や、忠誠心(ちょっとオーバーですが)、モラル
などが低下したときの歯止めが利かない点です。
プロジェクトというのは、PMIでも定義しているとおり、期限のある(終わりのある)職務のチームです。
ということは、うまの合うリーダーでも、気に入らないメンバーでも、プロジェクトが終わるまで
辛抱すればそれでさよならなのです。
これが何を生むかというと、「人間関係をマネージしなくなる」のです。
トラブルや摩擦があっても、表面的に、それ以上の問題を避ける方向にすすみ、
繰り返しによってそれが上手になり、「大きな事故は起こさないがほかのメンバーと
係わり合いが少ない」 という性質に傾いてゆくのです。
本来なら、意見や考え方の違いをぶつけ合い、認め合うまでのプロセスで、
人はお互いの人格をも、ある部分受け入れあい、愛すようになるのだと思います。
そういう係わり合いがあってこそ初めて、組織がうまく潤滑するのだと思います。
期間契約でお願いしている、ある技術者がいます。
契約開始時、作業期間のあいだ日報を出してくれるようお願いしようとすると、
「日報の意味はなんでしょうか?」 「監視されているようで気分を害し、作業に差し支えます」
とメールをよこしたお方です。
百歩譲って、日報という形にとらわれず、決まった形の報告は要らないことにし、
そのかわり、細かいことでも報告してくれるよう約束するにとどめました。
毎週彼からは「報告、相談はありません」という無味乾燥なメールが届きました。
やがてその報告が途絶えるようになり、どうなってるんかなあと気にしていると、
ぜんぜん違う経路からの情報で、どうやら彼はうちとの契約を終了して、うちの元請と
直接契約しようとしている という噂を聞きました。
あきれて腹も立たないです。それどころか、こういう常識の狂った人と、はやく縁が切れて
よかったなぁと、心から思いました。
50年前には存在すらしなかった、「IT業界」。
人を育てる という一番大きな課題を取り残したまま、先端技術は
猛烈な勢いで進歩し続けます。